透明な髪の君が
身体中に黒い痣を付けて
白い綺麗な目から
黒い涙流して
黒い太陽が
君を飲み込んで行くようだった。
黒い夜が明けて
真っ白な朝日に目は眩んで
君のいない世界は
何時までも灰色のまま。
眠るなら、森の中
耳を塞ぎ、世界を遮断し
これは悪夢だと思いながら
次に見るものは
どうかあなたの笑顔であるように
闇に埋もれる。
口先だけの戯言なのに
罪悪感が芽生えるのは
あなたの白さが
余りに眩し過ぎるから。
真っ白なキャンバスに
線が引かれて、大地が出来て
空が出来て、花も咲いて
最後に君が居たけど
結局僕は描かれなかった。
切り付けた所から
赤い蜜が甘い匂いと共に滴り落ちて
僕を誘っているので
とりあえず今は何も考えずに
その唇に口付けた。
目を閉じて、想いを反芻してみる。
それは、どんどん塗り替えられて、膨らんで
だんだん鮮明さを取り戻してゆくけど
決して前と同じになんかならない。
私とあなたの間には
もう埋めることの出来ない溝が深く隔てられているのだから。
差し出されたその手が
あまりにも白く、細かったから
触ったら穢れるような気がして
手を伸ばすことを躊躇った。
真っ白な壁に塗られた赤
驚くほど鮮明なそれは
白をどんどん侵していき
君を見事に染め上げた。
いつのまにか、色褪せてしまったあの光景は
ふとした瞬間に、急激に色付いて
そしてまた、僕の心を激しく掻き乱すのだ。
君といた、思い出を連れて。
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