腐敗した僕の中で
君ののこした言葉だけが
真実であればいい。
痺れるような甘さが広がる。
君を想うときに似ている。
浅ましい渇望に
震える指先
零れ落ちたものは
もう元に戻らないのに
踏み荒らす足音が響いて
そっと目を閉じた
僕はただ、愛が見たかっただけ。
灰になり損ねた
僕の恋は
いとも簡単に
また燃え上がる。
歩く度に
想いは零れ落ちて
足許には
割れた誰かの破片。
むせるほどの花の香り
道には恋が落ちている。
千切れた約束は
風に溶けて
繋いだ手のひらは
遠く離れてしまった。
それでもこの腕は
いつか君を抱き締めるよ。
僕の声ではない
知らない音で
好きな言葉が溢れてる。
それで君が笑うなら
もう窒息してもいい。
部屋の隅で
忘れられた人形が
今の僕のようで
君のかわりに
愛してると囁いた。
願うことを忘れたこの手は
君の瞳に
どれほど綺麗に見えるんだろう。
どうか優しく握り締めないで。
どうしようもない恋で汚れてしまうから。
生ぬるい春の日
私だけはまだ冬で
この冷たさが伝わるように
いつか君がしてくれたように
君を抱き締めた。
肌触りの良さそうな
春の夜で君を包もう。
そして僕の体温だけ憶えて。
僕は嘘吐きだから
どんな甘い言葉でも紡げるよ。
そうして真実さえも嘘になって
君に届けばいい。
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