声も
腕も
体温も
求める度舞い上がり
空に翼を残して
君は蒼に溶けた。
暖かい日差しの中
吹き抜けた風が鋭くて
君みたいだと思った。
光を掴もうと
無様に広げた指の影が
君の顔を覆ったとき
君は光を失くした。
僕の声が届かないところで
君は泣き叫び
逃れたはずのこの腕に舞い戻り
また僕だけの光になる。
私が灰になったら
どうか空に流してください。
風に舞って
私はやっとあなたに逢える。
何もかも全部夢だと願いながら
僕は目覚めるために眠る。
何もわからない僕が悪いのか
わからないことばかり言う君が悪いのか。
風は止まったら終わりなんだよ。
水はいつか枯れるんだ。
君だって僕を置いていく。
僕だって君を忘れる。
永遠なんてないんだ。
なのに彷徨う手が求めるのは何。
夜に浮かぶ月の
青白い光が私を照らす。
思わず手を伸ばしたくなる清らかさで。
青空の下を
白い光を浴びながら歩く。
全てを影に潜ませて。
人魚姫は嫉妬の炎に焼かれる前に
海に沈んだのでした。
何度も空に還したはずの願いが
また暗闇に火を灯す。
触れば火傷してしまう
愛しい熱を腕に抱き
僕は静かに海へ沈んだ。
だけど今でもまだ
燻った想いは消えない。
優し過ぎる君は脆過ぎて
もうその手じゃ空を覆えない。
薄紅の目隠しを外された僕は
光に舞う君の欠片に埋もれ
か細い枝にそっと手を伸ばすよ。
呼吸の仕方が分かりません。
だったら息さえ奪うほどの
キスを下さい。
生ぬるい春の日
私だけはまだ冬で
この冷たさが伝わるように
いつか君がしてくれたように
君を抱き締めた。
埋まらない空白のために
死んだ言葉に埋もれて
君の声が聴こえない。
視界を覆う
花の淡い白
散る頃に
夜の衣を身に纏って
僕を攫って。
困った顔をしながら
それでも微笑んで助けてくれた。
いつでも抱き締めたいのは君だった。
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