振り向かないで下さい。
頬を伝う涙など
あなたは知る必要はないのです。
出来るなら今度は
こんな世界ではなく
気が狂うほどの極彩色の夢で逢いましょう。
言葉を伝えられない君に
伝えたい言葉が
涙になって流れていく。
自分勝手なあなたは
嘆きを振り撒きながら
見当違いの愛で私を包むのね。
背中合わせの僕たちは
手だけ握り合って
あなたはきっと幸せに笑っているだろうって
少し涙する。
昨日ほど空に焦がれた日はないし
今日ほど凪いだ日はないし
あなたを想わない日なんてない。
静かな夜なのに
あなたの周りにだけ
雨が降っているようだから
遮りたかっただけなのです。
あなたに必要とされない私は
もういらないと思うけど
あなたの幸せな姿を
まだもう少し、見ていたくて
傷つけてしまうことをお許し下さい。
諦めと呼ぶには女々しくて
未練と呼ぶには潔すぎる。
腕を伸ばし、必死に拒絶する手が
縋っているようだったから
手放せませんでした。
失くした希望が
有り得ない奇跡が
音を立てて舞い降りる。
人間はどこか欠けている方がいい。
でないと誰も愛せない。
曖昧になったあなたを欠片を
大事に仕舞って
忘れないうちにばら撒いて
必死になって掻き集める
そんな毎日。
鈍色の雲の隙間から見える
僅かな青空のような恋でした。
だから私は忘れる。
忘れた頃にあなたに逢えるから。
驚いて
嬉しくて
落ち着いて
落ち込んで
また驚いて
麻痺して
哀しくなって
強がって
寂しくなって
切なくなって
そしてまた恋しく思う。
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