何度洗っても
綺麗になることは無いこの手を
優しく包んでくれたその手で
切り落としてくれたらよかったのに。
喉が渇く。
水が欲しいと声が囁くけれど
何時までも満たされないのは
きっと君が足りないから。
初めて見たあの日と同じ
目に痛いほどの青い空の下
今だってほら、手を伸ばせば
あの雲さえ掴めそうなのに
あなたこんなにも遠い。
想いが腐蝕して
塵に還ってくれれば
それでいいのだけれど。
蛍光灯の消えた部屋に訪れた闇の中で
目は役に立たない事に気付きながらも
開くことはない扉から逸らす事は出来ない。
一人は、寒い。
射抜くような怒りさえ
僕が与えたものならば
こんなに愛しいなんて。
欲しいものを言えないのは
何時までも輝いていて欲しいから。
代わりなんて誰も居ないから。
だから誰も必要じゃない。
欲しかったものは、永遠に遠く
与えられたものは
未だ受け止められず、ただ零れるばかり。
蒼い空に溶けて消える
真っ白な残骸に手を伸ばして。
最後まで側にいたかったのだと
空に限りなく近い場所で思う。
七色の光を浴びているくせに
何時でも聖者面して何も与えない存在。
薄っぺらいすりガラスでも隔てないと
真っ直ぐ見つめることも叶わない存在。
本当は、このままどろどろに融けて
一つに合わさってしまいたいのに
それは夢の話なので
せめて体温だけでも混ざりたいと
ゆっくりと指を絡めていく私を許して欲しい。
何もかも壊して狂いたい夜に
眠りは逃避だと気付く。
中途半端な光が、不鮮明な世界を描く。
不様になってしまった僕はあまりに異質で
それならばいっそのこと
塗り潰してしまおうと
何度この目を抉ったことでしょう。
生きたい訳じゃないけど
君を置き去りにするようなことは
出来るならしたくない。
けど。
後悔する位なら
初めから諦めればよかったと
何度も嘆く君を
愚かだと罵れない。
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