色々と汚いことをやってきたこの手を
恐る恐る触れて、眩しそうに見て
綺麗だねって
寂しそうに笑った顔を
僕は一生忘れない。
まるで息をすることみたいに
それは自然で当たり前なことだったんだね。
金切り声が響く。
幼い子供は
スポンジのように
言葉とも言えない記号を吸収して
全てが寝静まった後
今日もひとり、毒を吐くのでした。
葉と葉の間から
滲むような空の青が見えて
それだけで
世界は美しいと思った。
例えば
咽喉の渇きを潤すために
飲んだものが君だった。
たった、それだけのことなんです。
一緒に居るはずなのにね。
声だって、体温だって
ちゃんと感じられるのに
心は、こんなにも遠い。
人を愛する行為と傷つける行為は同じ。
結局は、独り善がり。
折れそうなほど細い体で
目を逸らす事無く
向かい合う君に
今なら跪いて愛を誓ってもいい。
相変わらず君が
当たり前のように腕を広げてくるから
その笑顔が鮮やかなうちに
もう死にたいと思うんだ。
ちりっと感じた痛みに
顔を顰めながら
それでも指先から伝わった体温が
ひどく愛しい。
こんなに近いのにね。
触れ合った所から
温もりと一緒に
この苦しみも感染ればいいのに。
好きだけど。
好きなのに。
好きだから。
最後の決断を
私にさせないで下さい。
笑顔で見送れるほど
大人じゃないんです。
泣きたいくらい幸せ。
そう言って
悲痛なほど優しく笑った
君の悲しい横顔。
中身はいいですから
上辺だけ愛してください。
大丈夫です。
泣くのには慣れていますから。
与えられるだけじゃ
満足出来ないよ。
一度で良いから
空っぽになるまで
奪ってみてよ。
お願いだから。
思うだけでよかったのに。
近いけど遠い
この場所で。
忘れようとしたって
あなたは
僕の網膜まで犯してる。
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