冷たく突き放すのは
その手を握り返して欲しいから。
冷たい言葉を降らせるのは
少しでもその瞳に映りたいから。
冷たく笑うのは、心が泣いている証拠。
冷たい両手を広げたのは
君に縋り付いてきて欲しいから。
君は確かに笑ってるのにね。
たまに泣いているように見えるよ。
目の奥で、涙の予感。
黒い空に、嵐の予感。
笑う君に、心が泣いて
指の先で、恋の予感。
焦がれるほど見つめたって
忠誠を誓ったって
逃げないように抱きしめても
その目は空を睨んだままで。
いくら熱い眼差しを向けられても
指に口付けを落としても
両手で拘束されても
気紛れってことぐらい、わかるよ。
もう何も響かない心は
君の声も届かない。
痛みと喜びに
慣れすぎたみたい。
君は言う。
希望さえ零れるこの手で
受け止めろという。
君という光を。
君は笑う。
花に向かって。
刹那の命と知ってて笑う。
君は微笑う。
空に向かって。
虚ろげな目で幸せそうに微笑う。
僕は哂う。
君に向かって。
可哀相な君を想う僕を哂う。
熟れた林檎ほど
落ちる寸前が一番甘い。
人間も堕ちる時が
一番美味しいのでしょうか。
空みたいに広い心は
全てを赦してしまうのでしょう。
天使の微笑みを湛え
滑り落ちる涙が見えないように。
この声が
雑音のフィルターに紛れずに
あなたに届くのなら。
この耳が
絶望や希望の中から
あなたの声だけ聞けるなら。
許せないのは。
微笑んで赦してくれる君を
醜く歪ます事しか出来ない自分。
死にそうだと心臓が叫ぶ。
空は哂い、世界が色を失った。
消えたいと心が嘆く。
涙が伝い、空は啼いた。
どれだけ傷つけられても
最後に縋るのはあなただけという現実。
でたらめな頭で考えた事なんか
何一つ正しくないけど
感じた痛みは
せめて歪まないでいて。
骨の髄まであなたで染まって
骨まで食べてくれたらそれで本望。
愛したのは私で
愛してるのはあなた。
愛されたかったのは私で
愛して欲しいのはあなた。
今日もひとり
温かすぎる裁きの雨を浴びて
明日もまた
たった一人の幸せを願う。
昨日の私は
ただ愛を叫ぶ。
真っ白なキャンバスに
線が引かれて、大地が出来て
空が出来て、花も咲いて
最後に君が居たけど
結局僕は描かれなかった。
私は神ではないので
あなたを救うなんて出来ません。
でも私は神ではないから
あなたを捨てるなんてありえません。
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